基幹システムの企業における役割と、
成功に導く構築のポイント
ビジネスの成功は、裏側でスムーズに機能する情報システムに大きく依存しています。
基幹システムは、企業のデータと業務フローを効果的に管理し、オペレーションを最適化するための中心的な役割を果たします。
本記事では、基幹システムの定義、機能、メリット、そして導入のポイントについて詳しく解説します。
当社の基幹システム開発のアプローチについては、こちらをご覧ください。
1.基幹システムの主な機能
会社の基幹業務をサポートするシステムという言葉の定義からすると、対象となる業務/機能範囲は業種によって異なるものであると考えられます。共通点としては、企業が日々直面する様々な課題に対して、基幹システムは以下の主要な機能を提供してビジネスをサポートします。
1.1 データ管理
大量のデータを効率的に管理し、各部門が必要とする情報を迅速かつ正確に提供することで、データドリブンな意思決定をサポートします。これには、顧客情報、販売データ、在庫データなど、企業の各種ビジネスデータを一元的に管理し、アクセスや分析を容易にする機能が含まれます。
1.2 業務プロセスの支援
基幹システムは、経理から製造、販売に至るまでの業務プロセスを自動化・最適化し、業務の効率化を図ります。エラーの減少、作業時間の短縮、リソースの最適な配分などを通じて、企業の生産性向上を実現します。
1.3 情報の共有と連携
システムがデータを一元管理することで、組織内の情報共有がスムーズになり、各部門間の連携が強化されます。これにより、異なる部門が同じデータに基づいて意思決定を行うことができ、組織全体のアライメントを保ちます。
これらの機能により、基幹システムは企業の競争力を強化し、ステークホルダーへの価値提供を支援します。
2. 基幹システムのタイプ
基幹システムには、その機能や特徴によっていくつかの異なるタイプがあります。
それぞれのタイプが対応している業務範囲や企業規模などに違いがあります。
2.1 ERP (Enterprise Resource Planning)
ERPシステムは、企業のさまざまな部門(財務、人事、製造、販売など)を統合し、これらの部門が一元的なデータベースを共有することで、データの一貫性を保ちながら業務プロセスを最適化します。特に大規模な企業や複雑な業務プロセスを持つ企業に適しています。統合的に、社内のデータを全面的に管理することを目指すシステムです。
2.2 CRM (Customer Relationship Management)
CRMシステムは、企業が顧客との関係を管理・最適化するのを助けるものです。販売、マーケティング、サービスの各領域にわたる顧客データを一元管理し、顧客とのコミュニケーションを強化します。BtoBで顧客へのサービス提供を主幹業務としている会社では、CRMシステムこそが基幹システムと呼べるかもしれません。
2.3 SCM (Supply Chain Management)
SCMシステムは、生産から供給にいたる全てのプロセスを効率的に統制します。在庫管理、供給計画、ロジスティクス、調達など、サプライチェーン全体を最適化し、企業が迅速かつコスト効率的に商品やサービスを提供できるよう支援します。小売業や製造業、卸売業などにおいては、この領域こそ基幹システムであると考えるでしょう。
3. 基幹システム導入のポイント
基幹システムの導入は、企業の業務効率化とデータ管理の向上をもたらしますが、その実装には計画と検討が不可欠です。以下、導入に際して注意すべきポイントを挙げます。
3.1 ビジネスニーズの整理
システム導入の目的と期待する効果を明確にし、ビジネスニーズをしっかりと整理しましょう。どの業務領域を最適化したいのか、どのプロセスに課題があるのかを把握することで、導入するシステムの選定やカスタマイズの方向性が見えてきます。
3.2 プロジェクトチームの構築
システム導入は、情報システム部門だけのプロジェクトではありません。現場の業務知識を持つメンバーとITスペシャリストが協力して、システムが業務に適したものとなるよう連携を図ることが重要です。
3.3 ベンダーとのコミュニケーション
システムベンダーとのコミュニケーションも大切な要素です。自社のビジネスモデルや業務フローをしっかりと理解してもらい、システムがビジネスニーズに合った形で構築・導入されることを確認しましょう。長期間の取り組みになることが多いため、お互いのスタンスや契約形態などしっかりと確認を行いましょう。
3.4 データマイグレーションの計画
既存のシステムから新しいシステムへのデータ移行は、非常にデリケートなプロセスです。データの整合性を保ちながらスムーズに移行を行う計画を事前に立て、テストを重ねることが大切です。
3.5 ユーザートレーニングとサポート
システム導入後、エンドユーザーが新システムを効果的に使用できるよう、十分なトレーニングとサポート体制を整える必要があります。ユーザーがシステムを理解し、活用することで初めて、導入のメリットが最大化されます。
基幹システムの導入は、業務の進化と企業の成長を実現する重要なステップです。ポイントを押さえながら計画的なアプローチを行うことで、多くのメリットを享受し、ビジネスの競争力を高めることが可能です。
4. 基幹システム構築プロジェクトのハードルと解決策
基幹システムの導入・運用には、多くのメリットがありますが、一方で、多くの企業がハードルに直面することもあります。ここでは一般的な問題点とその解決策について考察します。
4.1 適切なシステムの選定の難しさ
ハードル:自社のニーズに完全に合ったシステムを見つけるのは難しい場合があります。パッケージソフトが乱立している中、どのシステムにするか、あるいは自社向けにスクラッチ開発をすべきかなど、選択肢が無数にあり、選定は難しい作業となります。
解決策:まず、一般的な業務領域で実行方法も一般的である場合には、パッケージソフトをリストアップし、より機能が充実していて価格が希望に見合うシステムを粘り強く調査・検討していく形になります。一方で、業務領域または実行方法において独自性が高い業務領域においては、パッケージを改修したり、業務をパッケージに合わせようとすることで、かえってコスト高になることがありえます。その場合は、スクラッチでシステム開発を行い、パッケージソフトと組み合わせてシステム構成を組み上げていくことが望ましいと考えられます。
4.2 ユーザーの抵抗
ハードル
新しいシステム導入に対して、ユーザーから抵抗があることがしばしばあります。
解決策
ユーザーをプロジェクト初期段階から巻き込み、フィードバックを取り入れながらシステムを整えていくことが重要です。そのためには、情報システム部門や担当業務部門が単独で起案するのではなく、システム構築プロジェクトを経営課題として位置付けて、関係部門へ協働を促していくことが重要です。また、十分なトレーニングとサポートを提供し、適応をスムーズにする手助けをします。
4.3 システムのオーバーカスタマイズ
ハードル
過度な開発やカスタマイズにより、システムが複雑化し、将来的なアップデートやスケールが困難になったり、予算やスケジュールを大幅超過させてしまう可能性があります。
解決策
初期段階でビジネスプロセスとシステムのミスマッチを可能な限り洗い出した上で、スコープ範囲や実行の方向性を明確にしておき、シンプルながら効果的な開発・カスタマイズに抑えるよう計画をします。
4.4 コストと時間のオーバーラン
ハードル
プロジェクトが予算やスケジュールをオーバーするケースは少なくありません。
解決策
明確なプロジェクトスコープと頻繁なコミュニケーション、並びに進捗のモニタリングを確実に行い、早期にリスクをキャッチし対処します。長期間におよびプロジェクトになる場合は、細かくマイルストーンを設け、品質・納期の点検を適宜行う必要があります。
4.5 データクオリティの問題
ハードル
データ移行や運用中にデータクオリティの問題が生じることがあります。
解決策
会社として検証をしっかりと行い、データのメンテナンスを確実に行っているシステムを見極めた上で、そのシステムとの間でデータ検証をきめ細かく行い、不確定要素(イレギュラー対応ロジックなど)を潰していくことが大切です。すべてのデータを1つのシステムと対比するのではなく、データ項目ごとに比較対象を定めていくことも大切です。
4.6 ベンダーへの丸投げ
ハードル
ITベンダーは、システムのプロフェッショナルであっても、社内の業務/ビジネスのプロフェッショナルなわけではありません。システム構築プロジェクトを丸投げしてしまった場合、確認不足からシステムの品質の低下を招き、最悪の場合プロジェクトが失敗に帰する場合があります。
解決策
業務委託する会社との間で、しっかりと役割分担を決めていくことが必要です。また、大きな役割分担を決めるだけでなく、スケジュールの中で具体的なタスクとして分担を明確にする必要もあります。また、日々のコミュニケーションの中で、仕事のやり取りについて調整を進めていき、お互いがやりやすい最適な方法を常に探っていく必要があります。
5. 基幹システム構築プロジェクトにおける当社のアプローチ
基幹システムの構築プロジェクトにおける当社のアプローチについては、こちらの記事をご参照ください。
多くの経験をしており、また、途中で頓挫してしまったプロジェクトは発生させておりません。
まとめ
基幹システムの構築プロジェクトは、実現する機能数が多いことから複雑に見え、また、多くの人数や長い期間を要することからチームをまとめ上げることに困難がつきまといます。慌てず、全体像を見据えながら、1つ1つの機能に細分化していき、スケジュールを着実にこなす体制づくりが必要です。
基幹となる業務/データを自由にハンドリングできるようになると、ビジネスの展望が大きく広がってくることは間違いありません!実行面でお悩みの会社様は、ぜひ当社にお声掛けください。